物流業界とSDGs。物流に求められるサステナビリティ活動

SDGsは環境配慮だけを意味するものではありません。
物流業界では、エネルギーの使い方、働きやすい職場づくり、技術活用による効率化、資源の削減など、さまざまな取り組みがSDGsにつながります。
SDGsとは
SDGsとは、持続可能な開発目標のことです。2015年の国連サミットで採択され、2030年までに達成を目指す国際目標として定められました。
SDGsは、貧困、環境問題、教育、働き方、平和などに関する17のゴールと169のターゲットで構成されています。
物流業界と関連するSDGs

物流業界は、輸送、保管、梱包、在庫管理などを通じて、社会や企業活動を支えています。
その一方で、車両の燃料消費やCO2排出、長時間労働、梱包資材の使用など、SDGsと関わる課題も多い業界です。
ここでは、物流業界と特に関連性の高いSDGsの目標を解説します。
「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
すべての人が安定してエネルギーを利用できることや、クリーンなエネルギーの活用を目指す目標です。
物流業界では、トラックや物流センターの稼働に多くのエネルギーを使います。
そのため、ガソリン車からEVやハイブリッド車へ切り替えたり、物流センターに太陽光発電を導入したりする取り組みが関係します。
働きがいも経済成長も
働きがいのある仕事と持続的な経済成長を目指す目標です。
物流業界では、長時間労働や人手不足が課題になっています。
働きやすい職場をつくるためには、業務効率化や労働時間の見直し、安全な作業環境の整備が必要です。
また、女性や高齢者など多様な人材が働ける環境づくりも求められます。
産業と技術革新の基盤をつくろう
産業を支えるインフラ整備や技術革新を目指す目標です。
物流業界では、IoTや自動化技術、配送管理システムなどの導入が関係します。
倉庫内の在庫情報をデジタルで管理したり、配送ルートをシステムで最適化したりすることで、物流の効率を高められます。
こうした技術活用は、作業負担の軽減や配送の無駄削減にもつながります。
つくる責任 つかう責任
資源を無駄にせず、持続可能な生産と消費を目指す目標です。
物流業界では、梱包資材の削減や廃棄ロスの削減が関係します。
商品を届ける際には、段ボール、緩衝材、ラベルなど多くの資材を使います。
過剰包装を見直したり、リサイクル素材を活用したりすることで、資源の使用量を抑えられます。
気候変動に具体的な対策を
気候変動への対策を進めるための目標です。
物流業界では、輸送時に発生するCO2をどのように削減するかが大きなテーマになります。
対策としては、EVや低燃費車両の導入、エコドライブの推進、配送ルートの最適化などがあります。
無駄な走行を減らすことで、燃料消費とCO2排出量を抑えられます。
物流業界が実際に取り組んでいるサステナビリティ活動

物流業界では、CO2排出量の削減、労働環境の改善、資源使用量の削減など、さまざまなサステナビリティ活動が進められています。
物流は社会に欠かせないインフラである一方、燃料消費や人手不足、梱包資材の使用などの課題も抱えています。
ここでは、物流業界で行われている主な取り組みを解説します。
ホワイト物流推進運動
ホワイト物流推進運動とは、トラック輸送の生産性向上と、働きやすい労働環境の実現を目指す取り組みです。
国土交通省、経済産業省、農林水産省が連携して推進しています。
荷待ち時間の削減、積み下ろし作業の見直し、無理のない運行計画などを進めることで、ドライバーが働き続けやすい環境づくりを目指しています。
物流総合効率化法の改正
物流総合効率化法は、物流業務の効率化を促進するための法律です。
輸送、保管、荷さばき、流通加工などを一体的に見直し、物流全体の効率化を図る取り組みを支援しています。
この法律では、輸送網の集約、モーダルシフト、共同配送などの取り組みに対して、計画の認定や支援措置が設けられています。
2016年の改正では、複数の事業者が連携して取り組むことが重視されるようになりました。
梱包資材の見直し・削減
物流では、商品を安全に届けるために段ボール、緩衝材、プラスチック資材など多くの梱包資材を使用します。
こうした資材を削減することも、物流業界におけるサステナビリティ活動の一つです。
たとえば、過剰包装を見直したり、リサイクルしやすい素材へ切り替えたりすることで、廃棄物の削減につながります。
グリーン物流パートナーシップ
グリーン物流パートナーシップとは、荷主企業と物流企業が連携し、CO2排出量の削減を目指す取り組みです。
物流における燃料消費を抑え、効率的な配送方法を実現することで、環境負荷の低減を進めます。
モーダルシフト
モーダルシフトとは、トラックで行っていた貨物輸送を、鉄道や船舶などに切り替える取り組みです。
特に長距離輸送では、トラック輸送の一部を鉄道や船舶に置き換えることで、CO2排出量の削減につながります。
また、モーダルシフトはドライバー不足への対策としても注目されています。
長距離部分を鉄道や船舶に任せ、トラックは集荷や配送などの短距離輸送に集中することで、物流全体の負担を軽減できます。
共同配送
共同配送とは、複数の企業の荷物をまとめて配送する仕組みです。
配送ルートや車両を共有することで、トラックの走行台数や配送回数を減らせます。
共同配送を活用すれば、荷物を集約して効率よく運べるため、燃料消費やCO2排出量を抑えられます。
物流業界が取り組むべきSDGs
物流業界におけるSDGsは、環境に配慮しましょうという話だけではありません。
人手不足、燃料費の上昇、長時間労働、過剰な梱包、非効率な配送など、これまで物流現場で積み重なってきた課題を見直すための視点でもあります。
これからの物流では、ただ早く届ける、ただ安く運ぶだけでは限界があります。
働く人に無理をかけず、エネルギーや資材を無駄にせず、安定して商品を届け続けられる仕組みが求められます。