コンテナ輸送の基礎知識|物流の常識を変えた歴史と仕組み

現在の国際物流では当たり前となっているコンテナ輸送ですが、実は物流業界の仕組みを大きく変えた存在です。
コンテナが普及する以前は、貨物ごとにサイズや形が異なり、積み込みや積み替えに多くの時間と人手が必要でした。
この記事では、コンテナ輸送がどのように始まり、なぜ世界中へ普及したのかを解説します。
物流や貿易に関わる方は、ぜひ一度お読みください。
コンテナ輸送はなぜ物流を変えたのか

現在では当たり前となっているコンテナ輸送ですが、導入当初は物流業界に大きな変化をもたらしました。
従来の輸送では、貨物ごとにサイズや形状が異なり、積み込み・積み下ろしに多くの人手と時間が必要だったためです。
特に港では、サイズの異なる貨物を個別に扱う必要があり、荷役作業の負担が大きくなっていました。
積み替えのたびに梱包が必要になることもあり、破損や紛失のリスクも高かったようです。
そこで導入されたのが、サイズを統一した「コンテナ輸送」。
1956年、アメリカのニューアーク港で本格的なコンテナ輸送が始まり、世界共通規格であるISO基準に沿ったコンテナが利用されるようになりました。
当初は50個程度のコンテナから始まったものの、荷役コストが大幅に削減されたことで急速に普及します。
従来と比べて荷役コストが40分の1程度まで減少したともいわれ、輸送効率が大きく改善されました。
日本では1968年に三菱重工業が導入を進め、その後は港湾物流や国際輸送の中心的な仕組みとして定着していきます。
コンテナ輸送が世界物流を大きく変えた
コンテナ輸送の普及によって、国際物流は大きく効率化されました。
貨物の積み替えが簡単になり、船・鉄道・トラック間の輸送をスムーズに接続しやすくなったためです。
輸送時間の短縮だけでなく、物流コストの削減にもつながり、国境を越えた貿易量は急速に増加しました。
特に、中国や東南アジアなどの製造業が成長した背景には、コンテナ輸送によって大量輸送を低コストで行えるようになったことも関係しています。
また、コンテナ船の大型化が進んだことで、一度に大量の貨物を運べるようになり、供給の安定化にもつながりました。
現在の国際物流は、コンテナ輸送を前提として成り立っているといっても過言ではありません。
用途に合わせて進化したコンテナの種類
コンテナは、物流の効率化を目的として普及しましたが、現在では輸送する貨物に合わせてさまざまな種類が使い分けられています。
一般貨物だけでなく、冷凍食品、液体、動物なども輸送できるようになり、物流の幅は大きく広がりました。
ここでは、代表的なコンテナの種類を紹介します。
ドライコンテナ
ドライコンテナは、最も一般的に使用されているコンテナです。
常温で輸送できる貨物向けで、衣類、雑貨、機械部品など幅広い製品に利用されています。
密閉構造になっているため、雨風から貨物を守りやすく、海上輸送の標準コンテナとして普及しています。
リーファーコンテナ
リーファーコンテナは、冷蔵・冷凍機能を備えたコンテナです。
温度管理が必要な貨物を輸送する際に使用されます。
例えば、冷凍食品、生鮮食品、生花、医薬品などの輸送で活用されています。
設定温度を維持したまま輸送できるため、品質管理が必要な貨物には欠かせない存在です。
タンクコンテナ
タンクコンテナは、液体やガスを輸送するためのコンテナです。
金属製のタンクをフレームで固定した構造になっています。
化学薬品、液体原料、飲料、ガスなどの輸送に使われ、一般的なコンテナでは運べない液状貨物に対応できます。
密閉性が高く、安全性を確保しながら輸送できる点が特徴です。
ベンチレーターコンテナ
ベンチレーターコンテナは、通風孔を備えたコンテナです。
内部の空気を循環させながら輸送できるため、湿気対策が必要な貨物に使用されます。
コーヒー豆や農産物など、湿気によって品質が変化しやすい貨物の輸送で利用されることがあります。
通常のドライコンテナよりも換気性を重視した構造です。
ペンコンテナ
ペンコンテナは、動物を輸送するための専用コンテナです。
通風、給餌、排泄などを考慮した構造になっています。
家畜や動物の長距離輸送で使用され、輸送中の安全性やストレス軽減にも配慮されています。
一般貨物用コンテナとは異なり、生体輸送を前提とした設計が特徴です。
世界中で使えるよう統一されたコンテナの標準サイズ
コンテナは、国や輸送手段が変わっても扱いやすいように、国際標準化機構であるISOによって規格が統一されています。
サイズが統一されていることで、港湾、船舶、鉄道、トラックの間で積み替えしやすくなり、海上輸送から陸上輸送までをスムーズにつなげられます。
日本国内の物流でも、主に20フィートコンテナと40フィートコンテナが使われています。
【20フィートコンテナ】
- 幅8フィート(2,350mm)
- 高さ8フィート6インチ(2,390mm)
- 長さ20フィート(5,898mm)
【40フィートコンテナ】
- 幅8フィート(2,350mm)
- 高さ8フィート6インチ(2,390mm)
- 長さ40フィート(12,032mm)
20フィートコンテナはTEU、40フィートコンテナはFEUと呼ばれることもあります。
コンテナのサイズが標準化されたことで、異なる輸送手段を組み合わせる複合輸送が行いやすくなりました。
さらに、頑丈な構造によって貨物を保護しやすく、安全性を確保しながら大量輸送できる点も大きな特徴です。
海上コンテナ輸送には2つの輸出方法がある

海上コンテナ輸送では、貨物量に応じて「FCL」と「LCL」の2つの輸送方法が使い分けられています。
どちらを選ぶかによって、輸送コストや貨物管理の方法が変わります。
FCL(コンテナ貸切輸送)
FCLは、一つのコンテナを一荷主だけで使用する輸送方法です。
貨物量が多い場合に利用されることが多く、「コンテナ貸切便」とも呼ばれます。
コンテナへの積み込み後は、輸送先に到着するまで基本的に開封されません。
そのため、他社貨物との混載がなく、紛失や破損のリスクを抑えやすい点が特徴です。
また、貨物管理もしやすく、大量輸送時には輸送効率が高くなるメリットがあります。
LCL(コンテナ混載輸送)
LCLは、複数の荷主の貨物を一つのコンテナへまとめて輸送する方法です。
貨物量が少ない場合に利用されることが多く、「混載便」とも呼ばれます。
一つのコンテナを複数社で共有するため、輸送コストを分担でき、小ロットでも輸送しやすい点がメリットです。
一方で、到着港ではコンテナを開封して貨物を仕分ける必要があります。
そのため、輸送先によっては紛失や破損リスクが高くなる場合があります。
貨物量やコスト、輸送条件に応じて使い分けることが一般的です。
コンテナ輸送で変化した物流効率

コンテナ輸送は、貨物を規格化された箱にまとめて運ぶことで、物流全体の効率化につながっています。
積み替えや荷役作業の手間を減らせるだけでなく、大量輸送や複数の輸送手段を組み合わせた一貫輸送にも対応しやすくなるためです。
ここでは、コンテナ輸送が物流効率を高める仕組みを解説します。
大量輸送によってコストを抑えやすくなった
コンテナ輸送は、一度に大量の貨物を運べるため、物流コストを抑えやすい輸送方法です。
特に海上輸送では、航空輸送と比べて運賃を大きく抑えられるため、国際物流で広く利用されています。
また、コンテナのサイズが規格化されているため、輸送量の計画を立てやすい点もメリットです。
貨物を個別に梱包して積み替える作業が減り、荷役にかかる人件費や作業時間の削減にもつながります。
一貫輸送が可能になった
コンテナ輸送では、貨物をコンテナに入れたまま、船舶・鉄道・トレーラーへ積み替えることができます。
貨物そのものを何度も積み替える必要がないため、荷役作業がスムーズです。
輸送手段が変わってもコンテナ単位で扱えるため、積み替え時間を短縮できます。
また、コンテナは悪天候や衝撃から貨物を守りやすく、輸送中のトラブルを抑えやすい点も特徴です。
コンテナ輸送は物流の基礎知識
コンテナ輸送は、貨物サイズの標準化によって、積み替え作業や輸送効率を大きく改善した仕組みです。
物流コスト削減や大量輸送、一貫輸送を実現できる背景には、こうしたコンテナ輸送の仕組みがあります。
ぜひ今回の記事を参考に、基本的な種類や仕組みを把握し、自社物流や輸送方法を考える際の参考にしてみましょう。